2018年02月09日

北軍事パレード 昨年から準備 緻密に計算された分断



 【江陵=桜井紀雄】北朝鮮が平昌五輪開幕前日の8日、朝鮮人民軍創建70年を記念し実施した軍事パレードは昨年から準備していたことが分かった。五輪参加や金正恩朝鮮労働党委員長の妹の派遣で韓国を取り込み、日米には軍事力を誇示する“二面作戦”は、日米韓の連携にくさびを打つため、緻密に計算された戦略だった可能性が高い。



 「北朝鮮は昨年12月初めから平壌で兵力約1万2千人を動員し、軍事パレードを準備してきた」。韓国の情報機関、国家情報院は5日、国会でこう報告した。



 金委員長が五輪参加の用意を表明したのが今年1月1日。軍創建日をそれまでの4月25日から正規軍の創設に合わせ、2月8日に変更する決定を下したのが1月22日。それ以前から五輪前日のパレードに向け、準備してきたことになる。



 五輪に冷や水を浴びせる軍事パレードの動きに、韓国内外で批判が高まると、北朝鮮メディアは「8日の記念行事に仰天するなら、そもそも五輪開催を他の日に決めた方がよかった」と主張、文在寅政権に「口出しするな」とクギを刺した。北朝鮮の五輪参加は文大統領の宿願であり、統一相が「五輪とは無関係だ」と弁明するなど、文政権は黙り込むしかなかった。



 北朝鮮は芸術団や選手団、応援団、高官代表団の派遣を小出しにし、対話ムードを高めていく戦術にも出た。極め付きは金委員長の妹、金与正氏の派遣だ。与正氏は政権の宣伝戦略を実質的に取り仕切る党宣伝扇動部第1副部長とされ、芸術団派遣を柱にした対南“融和作戦”を描くのに深く関与した可能性もある。



 一方で、韓国の独自制裁に抵触する貨客船「万景峰92」で芸術団を送り込んだ上、開幕間際に国連制裁対象の高官派遣を通知した。与正氏自身が米国の制裁対象であり、北朝鮮は8日、専用機での代表団訪韓を通知したが、これも制裁に抵触する疑いが指摘されている。制裁をなし崩しにしようとする意図は明白だ。



 半面、最高指導者の身内の派遣という最大級のカードを切ってまで文政権の取り込みを急ぐのは「それだけ制裁が効いている裏返しだ」との分析もある。



 国情院は、北朝鮮の核実験場の坑道の一つが掘削工事中で、別の坑道は「いつでも核実験ができる状態だ」とも報告した。五輪をめぐる融和攻勢で時間稼ぎをする裏で、北朝鮮の核開発は着実に進んでいる。


  


Posted by fsbda@inter7.jp at 18:59Comments(0)